スポーツ種目において、最大酸素摂取能の改善と、パフォーマンス能力に高地で行うトレーニングが大きく貢献していることは否定できない事実です。
特に近年の国際大会において陸上中長距離走におけるケニア(標高2000m)やメキシコ(2300m)エチオピア(2500m)などの高地でトレーニングを継続した選手の活躍や世界記録の更新には注目すべきものがあります。
高地のような空気が薄い場所(低酸素環境)では、体内に酸素を取り込みにくくなります。
人間にはもともと周りの環境に慣れようとする適応能力が備わっている ため、そのような場所に長時間いると身体は様々な反応を起こし、必要な酸素量を効率よく取り入れようとします。この高地への適応能力を巧みに利用し、運動能力の向上を引き出そうとするのが、“高地トレーニング”です。
高地トレーニングは、Epo遺伝子をはじめとした様々な遺伝子発現を誘導し、各組織への酸素供給効率を高めるための赤血球の産生・増血を目的として行われます。
持久力の向上
高地トレーニングは、血液の酸素運搬能力の向上や筋肉の酸素消費能力の改善をもたらし、有酸素運動時の持久力を向上させることが報告されています。
スプリンターやパワー系競技にも
低酸素トレーニングを実施すると乳酸の発生タイミングが遅くなるという報告があります。また8週間(2日/週)の低酸素トレーニング(自転車エルゴメータの全力ペダリングを用いたトレーニング)によって、全力ペダリング時の最高パワーが、常酸素環境下でのトレーニングよりも大きく増加したという研究結果があります。
このことは、使い方によっては、競輪競技など多くのスプリント的な種目の選手にとっても、低酸素トレーニングが有効である事を示しています。