12月17日18日、岐阜県高山市で第23回高所トレーニング国際シンポジウムが開催されました。
日本国内で高地トレーニングおよび低酸素トレーニングの最新情報を知ることのできる唯一の機会と言っても過言ではないこのシンポジウムは、国からナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点の指定を受けた「飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア」や「御嶽濁河高地トレーニングセンター」、高地トレーニング用プール施設のある長野県の「GMOアスリーツパーク湯の丸」付近で開催されます。
コロナ禍でここ2年は中止されましたが、今年は久しぶりの開催となりました。 毎回出席していますが、いよいよ話題の中心が「高地トレーニング」から「低酸素トレーニング」になった印象を強く受けました。
これまでは「如何に高地トレーニングの効果を最大化するか」「高地トレーニングの効果を低酸素室でどのように再現するか」が研究の中心であった気がします。その中で必ず発生するノンレスポンダー問題。
今回、特別講演をされた国際武道大学の山本正嘉先生は、各個人の個別性を重視したプログラムを組めば必ず低酸素トレーニングは効果を得られる事を話してくださいました。 研究・実験のためには一定の標高・一定の酸素濃度で行わないといけないですが、その標高・その酸素濃度では合わない人がいて当然です。その人たちがこれまでノンレスポンダーと片づけられてしまっていたのかもしれません。
低酸素トレーニングは今後、各個人にあった酸素濃度で行う流れがくるでしょう。そうなると標高2500m相当といった一定環境の低酸素室はアスリートには不向きになるかもしれません。一人個室低酸素トレーニング・マスクを使用した低酸素トレーニングが見直されるかもしれません。
今回、シンポジウムに協賛させてただき、同時にロビー出展もしました。 業務用システムを展示するのは難しいので、ポータブルジェネレーターやスリーピングテントを紹介させていただきました。
これまで論文で名前しか知らなかった先生や日本各地の低酸素関連の研究者・実践者の方と知り合うことができ、さらに多くの開発ヒントを得ることが出来ました。
来週には現在開発中の新システムがリリース予定です。 2023年も宜しくお願いします。
石井隆行
株式会社アスリートネット湘南代表取締役
Hypoxic Training Systems 低酸素トレーニングシステムズ 管理者
1996年アトランタ五輪から5大会連続複数競技の日本代表選手のトレーナー。
「高地トレーニング」「低酸素室においてのトレーニング」に関して、当時の日本記録を保持する競泳選手のトレーナーをしていた2000年頃より研究を始める。
2017年に経営するトレーニングジム内に高地トレーニング専門スタジオをオープンさせるが、 国内の低酸素発生システムを取り扱う会社の方針に疑問を持ち、英国大手低酸素トレーニングセンターと提携を見据え協議を開始。
2020年、協議先センターが取り扱う低酸素発生装置の製造工場へ日本での独占販売契約を結ぶために渡航する予定の10日前、新型コロナウイルスの影響でフライトがキャンセル。訪れる予定の工場も一時閉鎖されてしまった。
この時点で海外製の低酸素発生装置の輸入販売から、純日本製の低酸素発生装置を製造することに方向転換。日本各地の数十社に企画を持ち込むも「技術的にできない」「安全性が心配」などの理由で断られ続けるなか、ようやく1社興味を持って頂く事ができた。そして試行錯誤を重ね、業務用Altitude Maxが完成。
その後、改良を重ね、他社の追随を許さない業務用低酸素発生器を完成させました。
現在でも、より安全で効率的な低酸素環境の構築システムを研究開発を続ける傍ら、多くの人へこの素晴らしい低酸素トレーニングの魅力を届けるために様々なメディアやSNSで発信中