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低酸素トレーニングとミトコンドリアの関係

ミトコンドリア

低酸素トレーニング(高地トレーニング)でミトコンドリアを活性化

よく耳にする言葉ですね。ではどのようなメカニズムでミトコンドリアが活性化するのでしょうか。また活性化するとどのような利点があるのでしょうか。
それに関して、京都府立医科大学 医学研究科教授の五條理志先生が、先日発行された『月刊NEXT 11月号』に「低酸素トレーニングでミトコンドリア活性化による疾病・予防の可能性」というタイトルでそのメカニズムを解りやすく紹介してくださいました。

秘密はミトコンドリアの質の向上

ミトコンドリアは高エネルギーの電子と酸素分子を利用してATPを合成しています。つまりミトコンドリアが働くには酸素が必須な訳です。
しかし低酸素室(高地環境ルーム)の中は文字通り酸素が少ない状態です。このような低酸素環境下ではミトコンドリア内では以下のようなことが起こると紹介されています。

低酸素環境では、この受け皿となる酸素が少ないため、移動する電子が行き場をなくす。電子が立ち往生している場所で数少ない分子状酸素が提供され、活性酸素が生み出される。この活性酸素の一時的な増加は異常を伝達するメッセンジャーの機能を持ち、核にアラートを伝え、自食作用を増強する。一方、ミトコンドリアも品質が低下したものは、電子と共に動く水素イオンの移動が抑えられ、ミトコンドリア膜内外での電位差が低下する。これがミトコンドリアの自食作用を促すタンパク質を自らの膜表面に表出させる。これらのアラートを受けて、機能が低下したミトコンドリアは消失し、細胞内でいらなくなったゴミも一緒にキレイになるという仕組みだ。

低酸素環境下ではミトコンドリアに自食作用(オートファジー)が働き、品質の低下したミトコンドリアが排除され、質の高いミトコンドリアが残るということです。ミトコンドリアのオートファジーは『ミトファジー(マイトファジー)』と呼ばれています。


現代の環境は酸素も栄養も不足することがなくなり、暑さ寒さなどのストレスも無くなったことにより

また細胞内のオートファジー機能にスイッチが入ることが少なくなった。つまり細胞を掃除する機会が少なくなっている。これにより発症するのが生活習慣病と言われる動脈硬化や糖尿病や、認知症などだ

低酸素トレーニングの効果を一度見直してみよう

高地トレーニングを行うと、その効果が現れやすい『レスポンダー』と現れ難い『ノンレスポンダー』がいるとされ、その効果は個人差が大きいと言われています。
しかしこれは「パフォーマンス改善を目的」とした高地トレーニング・低酸素トレーニングに関してであり、個人差は、急性低酸素刺激に対する換気応答(HVR)の感受性や、低酸素室居住後のエリスロポエチン(EPO)濃度の上昇の度合い、はたまた遺伝子の影響などが関わっている可能性が示唆されています。

一方でミトコンドリア活性化による低酸素トレーニングの効果は「パフォーマンス改善を目的」というよりは「生活習慣病の予防」「生活の質の向上」という観点から非常に有効な手段となり得る可能性があります。

これまでの低酸素環境下でのトレーニングの研究の多くは、「高所環境と同じトレーニング効果が出せるか」を視点に行われてきました。
しかしながら1回30分〜60分、週2回程度の簡潔的低酸素トレーニングに関しての研究はまだまだ始まったばかりです。
これまで「効果がない」「悪い」とされてきたことでさえ今後は覆る可能性は多々あります。例えば1日に8時間以上低酸素環境下に滞在しないとEPOは増加しないなどと言われてきましたが、週2回の低酸素トレーニングで1月程度で血中ヘモグロビンの数値が大幅に改善された症例などは多数報告されています。これは身体が「低酸素←→常酸素」の揺さぶられる頻度に起因している可能性もあります。「頻繁な低酸素室の出入りは活性酸素の問題から勧められない」と言われることもありますが、これも数年後にはどうなっているかはわかりません。

簡潔的低酸素トレーニングの知られざる効果はまだまだありそうです。